言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2012'05.23.Wed
真っ白な紙に綴った文字。これで思いが通じたり、誤解が生まれたりする。指先でペンをもてあそび、笠井は息を吐いた。白紙のレターパッドを引き出しにしまってベッドへ向かう。秋の夜長とは言っても現代日本、決められたタイムスケジュールは24時間365日変わらない。明日も5時には起床だ。今から眠って7時間。つまらないことで悩んでいないで早く寝ればよかった。毛布に潜り込んで小さくなる。
先日ラブレターをもらった。小さな告白。かわいらしいクローバーの書かれた便せんに並ぶ言葉は、一つひとつが新鮮だった。つき合ってほしいとも返事がほしいとも書かれていなかった。向こうの要望は何もない、思いだけのもの。自分もそんな手紙が書けるだろうかと思ったが、ひと言も出てこなかった。
綴る言葉を考える。簡潔に、それとも装飾過多なほど着飾って。
思考の間をほとんど与えられないまま眠りに落ちていた。藤代の騒がしい足音で目を覚ます。
「笠井さーん、あっさでっすよ〜」
「ん……おはよう……」
「おはよー。先行っとくな」
顔を見る間もなくルームメイトは部屋を出た。のそりと起き上がってあくびをする。だらだらと支度をしながら、ふとネクタイを締める手を止めた。引き出しを開けて便せんを取り出す。罫線だけのシンプルな便せんは、コンビニで買ってきたものだ。一晩経つとこんなもので思いが伝わるとはとても思えなくて、再び引き出しにしまい込む。
朝食の為に部屋を出れば、三上と近藤が並んで歩いているのを見かける。近藤は笠井に気づき、挨拶だけ交わして先に行ってしまった。
「おはよ」
「……おはようございます」
「なんだよ、機嫌悪ィな」
「別に」
「あっそう」
歩き出した三上の手を取って引き留める。振り返った三上に前を向かせ、指先を背中に当てた。衣替えをしたばかりの、ワイシャツの背中に指を滑らせる。
「……朝からなんですか?」
「たまにはいいかなと」
三上の顔をのぞき込むと口元がにやけていた。それに満足し、笠井は食堂へ歩き出す。
先日ラブレターをもらった。小さな告白。かわいらしいクローバーの書かれた便せんに並ぶ言葉は、一つひとつが新鮮だった。つき合ってほしいとも返事がほしいとも書かれていなかった。向こうの要望は何もない、思いだけのもの。自分もそんな手紙が書けるだろうかと思ったが、ひと言も出てこなかった。
綴る言葉を考える。簡潔に、それとも装飾過多なほど着飾って。
思考の間をほとんど与えられないまま眠りに落ちていた。藤代の騒がしい足音で目を覚ます。
「笠井さーん、あっさでっすよ〜」
「ん……おはよう……」
「おはよー。先行っとくな」
顔を見る間もなくルームメイトは部屋を出た。のそりと起き上がってあくびをする。だらだらと支度をしながら、ふとネクタイを締める手を止めた。引き出しを開けて便せんを取り出す。罫線だけのシンプルな便せんは、コンビニで買ってきたものだ。一晩経つとこんなもので思いが伝わるとはとても思えなくて、再び引き出しにしまい込む。
朝食の為に部屋を出れば、三上と近藤が並んで歩いているのを見かける。近藤は笠井に気づき、挨拶だけ交わして先に行ってしまった。
「おはよ」
「……おはようございます」
「なんだよ、機嫌悪ィな」
「別に」
「あっそう」
歩き出した三上の手を取って引き留める。振り返った三上に前を向かせ、指先を背中に当てた。衣替えをしたばかりの、ワイシャツの背中に指を滑らせる。
「……朝からなんですか?」
「たまにはいいかなと」
三上の顔をのぞき込むと口元がにやけていた。それに満足し、笠井は食堂へ歩き出す。
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