言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2014'07.23.Wed
「わっ、懐かしい」
娘が小学校へ上がりしばらく経つ。前から話し合っていた通り、子ども部屋はまだ先にすることにしていたが、先日友達のところへ行ってから、娘はすっかり自分だけの部屋が羨ましくて仕方なくなってしまったらしい。いずれは部屋を分けるつもりであったので、先日から少しずつ、物置状態だった部屋の片づけを進めている。今日は仕事が休みのジャンがおばあちゃん孝行として実家に帰っているので、この機会にとタンスの奥まで手を伸ばしているところだった。
そこから出てきたのは高校の制服だった。特にこれと言って特徴があるわけではなかったが、モスグリーンのチェックのスカートはそれなりに人気はあったのだ。今では変わってしまっているので新鮮にも見える。
今となっては随分昔のことのように思えてしまう。懐かしくもあるが、楽しいことばかりではなかった。今でこそ夫婦と呼べる関係だが、この制服を着ていた頃はまだアルミンの片思いで、他に好きな人がいるジャンを思う日々だった。改めて思うと何が自分を支えていたのか思い出せない。
制服を肩に当てて鏡の前に立ってみる。変わらないと思っているつもりでもそうはいかない。いつまでも若くいたいと日々努力するジャンに遅れをとるわけにはいかずアルミンもどうにか若くあろうとするが、さすがに高校時代の若さとは比べられない。それでもふと、まだいけるんじゃないだろうか、と思ってしまった。
制服を置いていても仕方ないから、これはもう捨ててしまおう。今は誰も家にいなくて、わずかな懐かしさがアルミンを後押しする。
最後にもう一度、袖を通してもいいのではないだろうか。
そうして、アルミンは激しく後悔した。身長はさほど変わっていないし、上半身は問題ない。
「嘘だぁ……」
――まさか、ウエストのホックが止まらないとは思いもしなかったのだ。
考えてみれば、高校時代は一番細かった頃だ。ホックの位置がつけ直してあるほどだが、そうであっても、ショックは隠せない。腰でスカートを押さえて鏡を見る。虚しくなって溜息をついた。痩せよう、と改めて決意する。同時に、不要な服を選別したときに残したボトムの中にも着られないものがある可能性が出てきた。季節はちょうど夏、ダイエットにはもってこいだ。
戒めのためにもう一度鏡を見直して、……アルミンは硬直した。鏡に映り込む人の影。
振り返ると人影はすぐに逃げ出したが、アルミンはためらわず追いかける。寝室に逃げ込み背中に飛びつくように捕まえるが、バランスを崩して一緒にベッドに倒れ込んだ。笑う男、ジャンを睨み、彼が背中に押し込むものを奪おうと手を伸ばすがいなされる。
「携帯貸して!」
「やだ。永久保存する」
「やめて!」
顔が熱くなっている。ジャンは余裕の表情で笑ってアルミンを見上げた。
「いい眺めだな」
ジャンの言葉に少し考え、アルミンははっとして体を引いた。しかしわずかに早く腰を引き寄せられ、ジャンをまたいだまま動けない。
「ちょっとッ!」
「せっかく着たんだからオレにも楽しませろよ」
「やだ!ちょっと……メアリーは!?」
「寝ちゃったから母さんが見てる。一緒に飯どうかって言われたから予備に来たんだけど、戻るのはもうちょっと後でもいいな?」
「よくない!」
「それともオレも制服探してくるか?」
「バカ!」
アルミンが拳を振り上げるとジャンはようやく手を離した。名残惜しげではあるジャンを睨み返し、アルミンは着替えるために立ち上がる。
「お前なんでスカート押さえてんの?」
「……ホックが」
「止まらない?」
「取れてるだけ!」
自分の声が必死すぎることはわかっている。ジャンもアルミンのなけなしの乙女心を理解してくれようとはしたが、結局こらえきれずに吹き出したので、アルミンは今度こそ握った拳を振りきった。
娘が小学校へ上がりしばらく経つ。前から話し合っていた通り、子ども部屋はまだ先にすることにしていたが、先日友達のところへ行ってから、娘はすっかり自分だけの部屋が羨ましくて仕方なくなってしまったらしい。いずれは部屋を分けるつもりであったので、先日から少しずつ、物置状態だった部屋の片づけを進めている。今日は仕事が休みのジャンがおばあちゃん孝行として実家に帰っているので、この機会にとタンスの奥まで手を伸ばしているところだった。
そこから出てきたのは高校の制服だった。特にこれと言って特徴があるわけではなかったが、モスグリーンのチェックのスカートはそれなりに人気はあったのだ。今では変わってしまっているので新鮮にも見える。
今となっては随分昔のことのように思えてしまう。懐かしくもあるが、楽しいことばかりではなかった。今でこそ夫婦と呼べる関係だが、この制服を着ていた頃はまだアルミンの片思いで、他に好きな人がいるジャンを思う日々だった。改めて思うと何が自分を支えていたのか思い出せない。
制服を肩に当てて鏡の前に立ってみる。変わらないと思っているつもりでもそうはいかない。いつまでも若くいたいと日々努力するジャンに遅れをとるわけにはいかずアルミンもどうにか若くあろうとするが、さすがに高校時代の若さとは比べられない。それでもふと、まだいけるんじゃないだろうか、と思ってしまった。
制服を置いていても仕方ないから、これはもう捨ててしまおう。今は誰も家にいなくて、わずかな懐かしさがアルミンを後押しする。
最後にもう一度、袖を通してもいいのではないだろうか。
そうして、アルミンは激しく後悔した。身長はさほど変わっていないし、上半身は問題ない。
「嘘だぁ……」
――まさか、ウエストのホックが止まらないとは思いもしなかったのだ。
考えてみれば、高校時代は一番細かった頃だ。ホックの位置がつけ直してあるほどだが、そうであっても、ショックは隠せない。腰でスカートを押さえて鏡を見る。虚しくなって溜息をついた。痩せよう、と改めて決意する。同時に、不要な服を選別したときに残したボトムの中にも着られないものがある可能性が出てきた。季節はちょうど夏、ダイエットにはもってこいだ。
戒めのためにもう一度鏡を見直して、……アルミンは硬直した。鏡に映り込む人の影。
振り返ると人影はすぐに逃げ出したが、アルミンはためらわず追いかける。寝室に逃げ込み背中に飛びつくように捕まえるが、バランスを崩して一緒にベッドに倒れ込んだ。笑う男、ジャンを睨み、彼が背中に押し込むものを奪おうと手を伸ばすがいなされる。
「携帯貸して!」
「やだ。永久保存する」
「やめて!」
顔が熱くなっている。ジャンは余裕の表情で笑ってアルミンを見上げた。
「いい眺めだな」
ジャンの言葉に少し考え、アルミンははっとして体を引いた。しかしわずかに早く腰を引き寄せられ、ジャンをまたいだまま動けない。
「ちょっとッ!」
「せっかく着たんだからオレにも楽しませろよ」
「やだ!ちょっと……メアリーは!?」
「寝ちゃったから母さんが見てる。一緒に飯どうかって言われたから予備に来たんだけど、戻るのはもうちょっと後でもいいな?」
「よくない!」
「それともオレも制服探してくるか?」
「バカ!」
アルミンが拳を振り上げるとジャンはようやく手を離した。名残惜しげではあるジャンを睨み返し、アルミンは着替えるために立ち上がる。
「お前なんでスカート押さえてんの?」
「……ホックが」
「止まらない?」
「取れてるだけ!」
自分の声が必死すぎることはわかっている。ジャンもアルミンのなけなしの乙女心を理解してくれようとはしたが、結局こらえきれずに吹き出したので、アルミンは今度こそ握った拳を振りきった。
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