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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.18.Sat
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2014'06.28.Sat
「メアリー」

愛しい相手を呼ぶ声は甘く、それはかつて自分に向けられていたものだった。男なんて結局若い女の方がいいんでしょ、とアルミンがからかえば、当然、と堂々とした答えが返ってくる。その頬がみっともないほど緩んでいて、アルミンは怒る気も失せて笑ってしまった。

ジャンの腕の中に収まった小さな娘は両親のやりとりなど知らず、親指を吸ってうとうとと舟をこいでいる。それを邪魔するようにジャンが額に唇を落とせば丸い瞳はジャンを見上げるが、すぐにまた瞼が下がった。

「もうすぐ幼稚園なんて信じられないな」

「いじめられたりしねぇかな」

「ジャンみたいな子がいたらいじめられちゃうかも」

「ぜってー許さねえ」

「自分のこと棚に上げて」

「覚えてねえよ」

「僕はちゃぁんと覚えてるからね」

ジャンとは幼稚園からのつきあいだ。その頃はアルミンに興味がないどころか、鈍くさいだのなんのとアルミンをいじめていたことはしっかり覚えている。知らねえな、と嘯くジャンは笑っていた。

名残惜しげに、ジャンは眠りに落ちた娘をベッドにおろした。自分のものより高い体温の生き物を手放すときに感じるもの悲しさを、アルミンも知っている。体に合わないほど大きく上下する腹に布団をかけて、ジャンは指先で娘の額を撫でた。

「もし、僕とメアリーのどちらかしか助けられない状況になったら、ジャンはどうする?」

「そりゃ、メアリーを助けるな」

「あっそう」

「だってお前、怒るだろ」

こちらも見ずに、いう男を。

好きでいられることを、幸せだと思う。
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