言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2014'09.15.Mon
「飽きない?」
「飽きない」
至って自然に答えたはずが、アルミンはなぜか吹き出した。ジャンが睨むとごめんとあっさり謝り、ベッドのそばへ寄ってくる。シーツのど真ん中で眠る愛娘はぷうぷうと鼻を鳴らしながらも健やかに眠っており、ジャンはさっきからずっとそばに肘を突いてその姿を眺めていた。小さな手足が時折何かを掴もうとするかのように動くだけで、ジャンが多少頬をつつこうが足の裏をくすぐろうが、起きる気配は全くない。ジャンと子どもを挟むようにアルミンもベッドに腰掛け、指先でそっと前髪を払った。柔らかい毛色はジャンに似た。ジャンはそれが嬉しくて仕方がない。
「さっきまで泣いてたのが嘘みたい」
「ほんとによく寝るんだな。ちょっとつまんねぇ」
「起こさないでよ」
「わかってるよ」
「今のうちに買い物行ってくる。よろしくね」
「おう」
アルミンが部屋を出るのを見送り、ジャンはまた娘に視線を戻した。手の掛からない赤ん坊で、寝ているところを夜泣きで起こされた経験はほとんどない。四六時中一緒にいるアルミンは初めての子どもがいい子で安心しただろうが、ジャンが面倒を見ようと張り切って週末を迎えても、できることは精々おしめを変えることぐらいで少々物足りない。子育てに苦労した親には怒られそうだが、もう少しぐらい困らされたいと思ってしまう。
ふっくらと盛り上がった頬を指先でなぞる。何とも形容しがたい柔らかさはいくら触っていても飽きがこない。緩く握られた小さな手の中に指を差し入れる。大人の男の指を握るのがやっとという小ささに頬が緩んだ。
昔から子どもが好きだったわけではない。決して嫌いではないが、結婚するまではそこまで深く考えたことがなかった。アルミンと結婚してからも、難しく考えることなく、自然とほしいと思えたのだ。生まれてからは日々この小さな命が愛おしくて仕方がない。案の定、とでもいうのか、この子が誰かを選ぶ日が来るのだと思うとやるせない。せめてパパを嫌いにならないでくれよ、と戯れにつぶやき、身を乗り出して小さな額に唇を当てた。指を握られた気がして体を離せば、つぶらな瞳がくるんとジャンを見上げている。
「やべ、起きた」
しかしジャンの頬は緩んだ。おはよう、と囁いても返事はないが、泣き出しもせずジャンを見ている。
自分の子が生まれる前に友人のところに、男の子が生まれた。それを見に行ったときにもかわいいと感じたが、自分の子はその比ではない。やっぱり男より女だよなぁ、と娘の一挙一動に振り回されている。
いつでも、どんなときでも、守ってやろうと強く誓った。きっとそれは一生続くだろう。
ドアの音がして、はっと我に返った。アルミンが静かに気をつけて入ってくる気配に、ジャンはとっさにベッドに伏せて寝た振りをする。足音が近づいてくるのを緊張しながら聞いた。
「あら、起きちゃったの。いつもはぐっすりなのにね」
アルミンが娘を抱き上げ、ジャンの指から娘の体温が離れていってしまった。余計なことを、と思っていると、背中に重力がかかって思わず肩が跳ねた。しまったと思ったときにはもう遅い。
「駄目なパパだね〜娘の睡眠時間を奪っちゃって」
「ご、ごめんなさい」
「もう一回寝かせるから洗濯物入れてきて」
「はい、すいません」
子どもを生んでからアルミンが強くなった気がする。笑顔で繰り出される言葉に逆らえないのはジャンが変わったからではないはずだ。
「あ、オレが寝かせるって手も」
「起こした人は信用しません」
「起こしたわけじゃねーし……」
起きてしまったんだ、という言い訳は通用しないと知りながら、ジャンはつい口にしてしまうのだ。
「飽きない」
至って自然に答えたはずが、アルミンはなぜか吹き出した。ジャンが睨むとごめんとあっさり謝り、ベッドのそばへ寄ってくる。シーツのど真ん中で眠る愛娘はぷうぷうと鼻を鳴らしながらも健やかに眠っており、ジャンはさっきからずっとそばに肘を突いてその姿を眺めていた。小さな手足が時折何かを掴もうとするかのように動くだけで、ジャンが多少頬をつつこうが足の裏をくすぐろうが、起きる気配は全くない。ジャンと子どもを挟むようにアルミンもベッドに腰掛け、指先でそっと前髪を払った。柔らかい毛色はジャンに似た。ジャンはそれが嬉しくて仕方がない。
「さっきまで泣いてたのが嘘みたい」
「ほんとによく寝るんだな。ちょっとつまんねぇ」
「起こさないでよ」
「わかってるよ」
「今のうちに買い物行ってくる。よろしくね」
「おう」
アルミンが部屋を出るのを見送り、ジャンはまた娘に視線を戻した。手の掛からない赤ん坊で、寝ているところを夜泣きで起こされた経験はほとんどない。四六時中一緒にいるアルミンは初めての子どもがいい子で安心しただろうが、ジャンが面倒を見ようと張り切って週末を迎えても、できることは精々おしめを変えることぐらいで少々物足りない。子育てに苦労した親には怒られそうだが、もう少しぐらい困らされたいと思ってしまう。
ふっくらと盛り上がった頬を指先でなぞる。何とも形容しがたい柔らかさはいくら触っていても飽きがこない。緩く握られた小さな手の中に指を差し入れる。大人の男の指を握るのがやっとという小ささに頬が緩んだ。
昔から子どもが好きだったわけではない。決して嫌いではないが、結婚するまではそこまで深く考えたことがなかった。アルミンと結婚してからも、難しく考えることなく、自然とほしいと思えたのだ。生まれてからは日々この小さな命が愛おしくて仕方がない。案の定、とでもいうのか、この子が誰かを選ぶ日が来るのだと思うとやるせない。せめてパパを嫌いにならないでくれよ、と戯れにつぶやき、身を乗り出して小さな額に唇を当てた。指を握られた気がして体を離せば、つぶらな瞳がくるんとジャンを見上げている。
「やべ、起きた」
しかしジャンの頬は緩んだ。おはよう、と囁いても返事はないが、泣き出しもせずジャンを見ている。
自分の子が生まれる前に友人のところに、男の子が生まれた。それを見に行ったときにもかわいいと感じたが、自分の子はその比ではない。やっぱり男より女だよなぁ、と娘の一挙一動に振り回されている。
いつでも、どんなときでも、守ってやろうと強く誓った。きっとそれは一生続くだろう。
ドアの音がして、はっと我に返った。アルミンが静かに気をつけて入ってくる気配に、ジャンはとっさにベッドに伏せて寝た振りをする。足音が近づいてくるのを緊張しながら聞いた。
「あら、起きちゃったの。いつもはぐっすりなのにね」
アルミンが娘を抱き上げ、ジャンの指から娘の体温が離れていってしまった。余計なことを、と思っていると、背中に重力がかかって思わず肩が跳ねた。しまったと思ったときにはもう遅い。
「駄目なパパだね〜娘の睡眠時間を奪っちゃって」
「ご、ごめんなさい」
「もう一回寝かせるから洗濯物入れてきて」
「はい、すいません」
子どもを生んでからアルミンが強くなった気がする。笑顔で繰り出される言葉に逆らえないのはジャンが変わったからではないはずだ。
「あ、オレが寝かせるって手も」
「起こした人は信用しません」
「起こしたわけじゃねーし……」
起きてしまったんだ、という言い訳は通用しないと知りながら、ジャンはつい口にしてしまうのだ。
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