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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'03.16.Thu
ハンターの目をしてるよと言ったら君は笑った。



俺はそんなに器用じゃないですよ、俺とそういう関係になったときに彼は先にそう言った。

俺と一緒にいながら仕事をこなす様を見てとてもそうは思えなかったけど、俺は意味を取り違えていたらしい。仕事と私事を分けられるほど器用じゃない、という意味だった。



何処にいてもどんなときでも平気で刀を抜くのは、職業柄の強味かどうか一度聞いてみたら、例えこの職になくとも逃げて見せる自信はあるけどと血を払って笑った。

これでも俺だって戦争を潜り抜けてきましたから。思わず年を聞いたけどはぐらかされた。



何処にいてもどんなときでも、君に禁猟区はないんだろう。ハンターであるからハンターとしての仕事を全うするだけ。

昔の俺みたいで、少しだけ笑えた。



昔の自分に重なる姿を、聖域にする俺の神経も相当だ。



「すいませんね、折角なのに。人呼んでちゃちゃっと片付けますから、その後また」

「お忙しいようなら遠慮するけど?」

「いーえ、今日はもともとオフですから。無理にでも。ご迷惑かけた分奢りますよ」

「マジで?俺段々ヒモになってくんだけど」

「いーんじゃないですか?」



俺の相手に回るようなことさえなければね。

あぁそういえばこの子は、一番初めは俺のことを調べるために近付いてきたんだっけ。それをまんまといただいちゃった上にのめりこんじゃったのが俺で。



やっぱり俺にも禁猟区なんかないんだろう。いつだって、君の腰の獲物を取れそうだ。
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2006'03.14.Tue
私のいないところへ。



下手くそでもそれは確かな求婚だった。

ここではないどこかへ、私のいないところへ行ってしまったけれど。



腐れ縁で付き合ってきて、飾る言葉もない愛の伝達。

だけど少し嬉しかった。思ってくれていることが。



「戦に行くことにした」



桂がそう言ったのを聞いたから、だからそのときに覚悟はしたのだ。

お前をここではないどこかへ送る決意を。



結婚の準備を進めていた養父母には悪いことをしたが、私はこうなるような気がしていた。

親はない。あいつもそれは同じだ。だから一緒になろうと言ったのか。だからこうなると思ったのか。



私が渡したキセルは気に入ってもらえたようだ。それだけで満足。私の知らない、ここではないどこかで生きればいい。
2006'03.12.Sun
少しずつ歯車が狂っていった。



一緒にいるのはまずいから、そう別れて何年になるか。必ずと交わした誓いは、離れている間にお互いを違う道へ導いた。



最後に届いた手紙には、はっきりと決別の言葉が記してある。あいつらしい乱暴な文字で。

わざわざ言われなくてもわかってる。俺にとってもお前は邪魔になってきた。



あの頃は所詮子どもだったのだろう。しかし世界を知った今でもまだ、俺はあがいている。



最後の手紙を前にしながら、返事を出そうか迷う。政府の馬鹿な奴らもそろそろ俺達が連絡を取っていることがわかってくるだろう。

それでも最後に一言、何か言いたい。



未来のことはわからないけれど、過去なら手紙が覚えてる。

道を分かつ君に。
2006'03.11.Sat
自分が人である瞬間をその時思い出して。



戦場から逃げ出して、たどり着いた場所が墓場だった。俺は墓場で死んでもいいんだろうか。汗と埃でベタベタの頭をかいて視線をめぐらす。

綺麗に掃除された墓の並ぶその場所は、静かに死を眠るにはふさわしく思えた。ただ俺がこんな場所に混ざってはいけないような気がして、早く離れなければならないと思った。だけど本当に、俺はこんな場所で死にたいと思ってしまって。



人の気配がして反射的に隠れる。馬鹿だな、こんなところにまで俺の敵がいるはずがないのに。安全だとわかったから鎧も刀も売り払ったのだから。

着物の裾。質のいいものだと一目で知れる。俺が隠れた墓の前で足を止めて、線香の匂いがしてきた。



話かける気はなかったのに、食べ物に釣られて声を出した自分が情けない。

食べる気があるということは、俺はまだ死ぬ気なんてさらさらないということだ。



あれから何年経ったのか。



「ババァー、米貸して、米!」

「…家賃払うなら貸してやる」

「家賃返せるならパフェ食いに行きます」

「胸を張るな!」



何だかんだで米を3合借りる。上で大騒ぎをしていたのが聞こえていたんだろう、既に準備してあった。

煙草をふかしながら水は出してくれる。面倒くさそうにしながら、昼間の夜の蝶は当たり障りのない会話をする。



結局この生命観溢れるババァに生かされた。

あーあ、もうちょっと若けりゃな。考えてることがもれたのか、机から米が姿を消した。
2006'03.09.Thu
それでもあなたはそれをためらう。



1日だけでいいのです今日だけ今日限り、今夜限りでいいのです。お願い私を抱いていて。

外聞もなくすがり付いて必死であなたを引き止めた。文字通りの死ぬ覚悟。

ほんとうに今夜だけでいいのだってもう今夜で世界が変わってしまうから。



私を見つめる目は悲しい。今にも視界を塞ぎそうな目蓋が震えて、私が先に目を閉じた。

お願い、喉の奥から搾り出す、もう何度目かわからない懇願、あなたの耳に届いただろうか。



漆黒の制服姿を見かけるたびに胸をときめかされた。あなたも私も悪かったわけではないのに。

伸ばした手を見つめて、彼はためらいながら手を伸ばしたけれど、やっぱり私には触れなかった。



「…意気地なし」



堪えていた涙が零れる。こんなに苦しいのだからさっさと忘れてしまえばよかったのだ。こんな夜のような男のことなど。

私はただのん気に笑って過ごしていればよかったのだ。いずれ来る、この時のために。

顔も見知らぬ相手との婚約が決まり、もう以前ほど彼らに会うことはなくなるだろう。



怒るでもなく笑うでもなく、彼がこんな小娘相手に真剣な顔をしているのだからなお悔しい。

私がひどく泣きじゃくるただの小娘でも彼にとっては姫なのだ。わがままを言っても従順であっても、女にはならないのだ。



両手で顔を覆って彼を消した。視界から。それでも彼の気配はそこにある。

小娘の我侭もきけないのなら早く帰ってくれればいいのに。そうすれば私は大声で叫びながら泣けるのに。



あなたの指が、私の頭に触れた。

自分でも驚くほどに単純に涙が止まる。顔を上げると彼は困った顔をしていた。



「どうしていいかわからない」

「……手を握っていて下さる?」



それ以上何も望むまい。あなたの指先から発せられる熱だけを、私は糧とし笑いますから。
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