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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'07.08.Sat
あなたを待つ一夜は千夜に等しい。



まだだ、と一言だけ土方が言い、沖田は頷いて部屋へ戻る。馬鹿げた関係を知っているものはいないが、もしかしたら土方は察しているのかもしれない。



山崎が潜入捜査へ出たのは1週間前だった。予定は3日。ただ仕事が遅れているだけではない。連絡さえ入っていないのだ。沖田でなくとも心配する。

通常潜入捜査は機密であるため、沖田は行き先までは知らない。知るのは土方と監察の人間ぐらいだろう。



子どもの賑やかな声に顔を上げると、塀の向こうを笹が歩いていった。親子らしい声の会話で、流しに行くのだと知る。

七夕が過ぎた。どうして気づかなかったのだろうと考えて、いつも山崎が準備していたからだと思いつく。呆れるほどマメな男だ。



ふらりと山崎の部屋に足を向ける。平隊士扱いではあるが存在としては幹部並の男は一応自室を持っている。しかしほとんど監察部屋となっている状態で、昼間は本人が不在でも人が出入りするような部屋だ。

今夜は人気がない。鍵もない部屋に踏み込めば、いつものように散らかった部屋。長い潜入であるから布団は上げてある。見慣れた様子の中に鮮やかな色彩────短冊だ。



誘われるようにそれを手に取り、転がっていたペンを拾う。



────土方が死にますように

────駄菓子屋のババァが呆けますように

────チャイナが消えますように



────夜が終わりますように
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2006'07.06.Thu
不気味な夜を見た。



初めて江戸へ出た夜、これから住処になる屋敷の中で戸惑っているのは俺だけだった。割り当てられた部屋で各々仕事をしていたらしい。俺はどうしたらいいかわからず、土方の部屋で邪魔をしていた。

江戸へ上る準備に忙しかったせいで、この…真選組と名付けられたむさ苦しい集団は、むさ苦しさが増している。らしくない無精髭を生やした土方は、隣で転がる俺を完全に無視していた。



真剣な横顔。…仲間であった存在が、上司になってしまった。幕府の駒になることは怖くない。怖いのは、変わることだ。



「…ねぇ土方さん、暇でさァ」

「ガキはさっさと寝ろ」

「ガキじゃねぇよ、真選組一番隊隊長だぜ」

「……」



久しぶりにこっちを見た。クマができて目つきの悪さに拍車がかかっている。どっちが悪人だかわからない。

嫌そうな顔しやがって。ほんとに迷惑だと思ってるなら、俺を連れてこなきゃよかったのに。



諦めて溜息を吐く。うつむいたので、まさか手が伸びてきているとは思わなかった。



「……わかりやした、部屋帰って…!?」

「構ってやるからおとなしくしやがれ」

「あっ」



噛みつく口づけからとっさに逃げようとした。なのにいとも簡単に捉えられ、乱暴に唇をこじ開けられる。

勢いに任せて押し倒されて、ほとんど同時に着物を払って性器を握られた。悲鳴は食われる。



「ば、か…やだっ」

「ンだよ、欲しかったんじゃねぇのかよ。反応してっぜ」

「やっ」



痛い。押しつけられた畳も肌を這う手も。



初めてじゃない。江戸へ来る前、乙女のように顔を赤らめた土方を見た。

こんなに酷くはなかった。



無我夢中で土方から逃げる。どこかを蹴ったかもしれない。だけど確認する余裕もなく、部屋を飛び出して縁側を走り抜ける。



夜空を見上げると無機質な動物が飛んでいた。怖い。俺は何処へ来たのだろうか。



夜風に当たると落ち着いてきて、ついでに大変なことになっているものにも気づいてしまった。畜生、あの変態が変なこと教えるから。

こぼれてきた涙を拭い、自分の部屋がわからないから土方の部屋へ戻る。机のそばでうずくまる男に近づいた。



「……お前…鳩尾入ったぞ…」

「……土方さん、ゆっくり して、下せぇよ。怖くて寝れないんでさぁ」



これからここで過ごすのだけど
2006'07.05.Wed
大嘘を吐くのは得意だった。



その瞬間何故だか涙が零れ始めて、自分がぶっ壊れたんじゃないかってうろたえながらも俺は泣くのをやめる気は一切なかった。つんとするほど甘い飴が一粒、完全に俺を打ち負かした。



首が飛ぶ思いを何度もした。五体満足が不思議なほど戦に組み込まれ、命を奪い、また何かを失ってきた。

びっくりするほど、楽しいと思っていた一瞬だって、あった。



平気だって負けないって誰にだって笑顔で言ってやった。どんな奴にだって信じさせたし自分だってそう信じてた。

そこで死にそうになっている少女にだって、絶対仇を取ってやるって、持ってもいない正義感を振り回した。



赤い 飴が一粒



家はそんなに裕福じゃなかったけどそれなりの生活をしていた。時々食べれる団子の味を思い出したりしていた。

そんなときに、死にかけた少女が差し出した飴。どんな意味があったのか、それは今でもわからない。



それを口に含んだ瞬間、始めて味というものを知った気になって、そこでやっとここ数ヶ月俺は全く生きていなかったことに気がついた。

だらだらと涙を流しながら、甘い刺激を感受する。俺はどうしてこの世界に生まれたんだろう。



戦闘から逃げたくなったのは、あのときが最初で最後だ。しばらくすれば飴は溶け、涙も止まる。

そして俺は再び死人になった。



あの少女をどうしたか覚えていない。

今更それが悔やまれる。目の前にあった命さえ、守りぬけなかった己を恨む。



だから俺は絶対に
2006'06.13.Tue
一種の恋だったな、そう呟いたのは誰だったか。



真っ先に屯所に踏み込んだのは沖田だった。配置が公開され、彼が隊長であることを妬んだ奴らに襲われた際に負った傷はまだ頬に残っている。まだ歴史を引きずる中、最年少の沖田を隊長にしたのは土方だった。沖田ひとりで5人を返り討ちにしたのだから皆納得したが、土方がどういうつもりだったのかはまだわからない。

ペタペタと足音をさせてまだ埃っぽい屯所をめぐっていると、その縁側の雑巾がけをしている監察連中に出会う。不満を言う奴らもいるが、山崎曰わくこれも監察の修行らしい。



「うぉい山崎、俺の部屋何処だっけ」

「また迷子?」

「または余計でィ」

「縁側そのまま行って、曲がってから3番目」

「めんどくせぇな。なんでこんなに遠いんでィ」

「大将が一番奥で、その周りを幹部が固めるようにしたんだよ。テロリスト襲撃に備えてだけど、何より今はまだ政府から守らなきゃいけないから」

「ふぅん」

「…それより、やっぱり隊服仕立て直そうか?あっ痛い痛い踏んでる!」

「チッ」



極めつけに山崎の顔を蹴り飛ばし、沖田は部屋へ返っていく。昔からの仲間は笑い飛ばしたが、今回初めて仲間になった隊士は目を丸くしていた。



「山崎」

「土方さんお帰りなさい」

「ボタンとれた」

「あ、はい」



土方にジャケットを押し付けられる。ボタンはポケット、付け足して、煙草片手に縁側へ腰を下ろした。不要と思われた立派な庭を眺める。



「…どうだった、初めての見廻りは」

「ま、いい見せ物だ。ちょっとした殿様気分だぜ」

「山崎さん、俺らは見廻りないんスか?」

「ああ、動き出したらわからないけど今のところは予定にないよ。俺達はあくまで監察、同じ隊士でも同じことは出来ない。異動したかったらいつでも副長に言って」

「んあ?…あぁ、人事結局俺になったのか…」



ぷかりと煙を吐き出して、珍しく呆けた表情で土方は空を仰ぐ。



「────祭りってのは、どうして準備の方が楽しいんだろうな」

「…それを言っちゃ元も子もないよ。あ、俺も敬語に直さなきゃな…」

「あ〜めんどくせっ」

「頑張りましょうよ、副長!」

「…山崎君、お茶をいれてきてくれ」

「え〜……あっ!もしかして助勤ってパシリってこと!?」

「バカめ今更気付いたか」
2006'06.07.Wed
一番の敵。



わぁ、と声を上げて少女は土手を転がった。もう溜息を吐くのも億劫で、高杉は無感動にキセルをくわえる。

外は晴れ、うんざりする快晴。眩しさに目を細め、泣くでもなく伏したままの少女を踏みつける。



「起きろ」

「…びっくりした…」

「……」



黒髪を揺らして少女は立ち上がった。タンポポの残る土手を再び駆け出す。



退屈は人を殺す。晴天に煙を吐き捨てて、空を恨んだ。気まぐれを起こすとろくなことがない。ぎゃん、とまた少女が転ぶ。



「牡丹」

「なぁに?」

「下手くそ」

「むう」



高杉に言われた意味を理解し、少女は口を尖らせた。座り込んだまま草履を脱ぎ捨て、足を挙げて指を動かす。



「だって人間の足難しいんだもん」

「又市は器用に歩くぜ」

「猫と一緒にしないでよーォ」



草履を拾い、少女は高杉の方へ投げ飛ばした。高杉の背後へ迫っていた人間へそれはぶつかる。



「くっ…」

「…昼間っからお盛んだな」

「父の敵ッ!」

「牡丹」

「はぁい」



少女が手をひと振りすると、刀を振り上げたまま男は動かなくなった。その表情は困惑に染まり、少し振り返った高杉は笑う。

蜘蛛の糸って丈夫なもんだな、男には意味のわからないつぶやき。



「食べていい?」

「消化不良起こしてもしらねぇぞ」

「平気」



全く────退屈な世の中だ。こんな余興は娯楽にならぬ。



「…やっぱ暇なときゃ女だな」

「えーっ、牡丹がいるじゃん」

「俺ァ足の多い生き物は嫌いなんだよ」
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