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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'03.08.Wed
それが守ることだとは考えていない。



真っ直ぐ空を見るあの人は、いつも俺に背中を向ける。時には拳を向けられることもあるけれど。

強いあなたのことだから俺は時々油断している。不意に見せられた涙をどうしていいかわからない。



こんな仕事をしていると人間の汚いところばかりが見えてくる。

人を傷付けたことがないなんて言うつもりはない。俺が誰かの悪者になっているのだろう。

そのせいもあるのかもしれない。夜の世界にいても、真っ直ぐ己を見つめるあの人に惹かれるのは。



「お妙さんも毎日お忙しいですね」

「…あなたが言うんじゃなければそれは嫌味なんでしょうけど」

「はい?」

「いいえ。弟の収入も期待できませんしね」

「大変ですね」

「――――あなたは、大変だと思ってお仕事なさってるの?」

「……」



それが愛の力というものなのよ。

笑うあなたは美しい。
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2006'03.04.Sat
可愛い…なんて、思っちゃったのがまずかったんだよなぁ。



目の前で竹刀を構えるのを見つめる。平隊士の指南をする姿。ほんとに子どものようなあどけない姿だ。くるくると丸い目で前を見つめて、遊びのように繰り出される竹刀を迎え撃つ。猫が猫じゃらしにじゃれるようなものだ。



あーあ…どうして俺はここに混ざってんのかなぁ。平隊士に混ざって道場の端で正座。

確かに平と同じ制服ではあるけど、俺そこそこにもうちょっと上なんだよね。

あーしかし可愛い。だけど腹の中は真っ黒の生き物。



「…飽きた」



一言呟いて竹刀が投げ出された。ずんずんと道場を横切って出て行ってしまう。溜息を吐いてあとを追った。ぽかんとしているのは最近入った隊士達で、慣れた隊士が自主連!と言い渡す。



「ザッキ〜」

「水飲んだら戻って下さいよ!」

「えー」



台所まで歩いていったのについていって、お茶を入れて渡す。台所の椅子にどかっと座ってお茶を飲んで、息を吐いて俺を見た。

あ〜…いや、落ち着け俺。流されるわけにはいかない。



「ダメですよ」

「ぶー。つまんねぇ」



すねた表情で湯飲みを空にして、表情とは違ってしゃきっと立ち上がった。大人しく出て行くのでついていく。

道場に入る前まで無言で、打ち合う声が聞こえる辺りで足を止めた。何をする気だこの人。

ちょいと俺の袖を掴んで見上げてくる。あーあ。可愛くて可愛くてしょうがない。わかっててやってるからタチが悪い。



あんたなんで俺なんか選んじゃったんですか。いっそふられりゃ、こんなに可愛く見えないかもしれないのに。



一瞬だけ唇をあわせ、向こうが先に道場へ入った。掛け声が一気に消えた。

…他の人からこの悪魔の姿はどう見えているのだろう、なんて考えたりして。頼むから、こんなに可愛いのは俺の前だけでありますよーに。



硬直する俺の背後に上司が立った。

可愛い人、気付いたら俺の思いは命がけになっている。
2006'03.03.Fri
…わけではないけど、そうする方法しかわからない。



「…斬れたヨ」

「…斬ったからな」



血の流れる傷を拭って、じっと手の平を見るその姿。それよりも傷口に目が行って身動きが取れなかった。

塞がった。羨ましくなる、その体。その体があれば、欲しいものなどあっという間に手に入る気がする。ほしいものは、あんたの隣と、上の地位と、他にも色々、信じられないぐらいに沢山ある。



じっと俺を睨む視線を感じるけれど、俺は傷口だった傷跡を見たままだった。

その体に惹かれている。俺のものじゃないなら、俺のものにしたい。ただ闇雲に傷付けているわけじゃない、振り向いて欲しいだけだ。



サイテー男、高い声。女らしいのはそれだけだ。

変なカタコトで話すから、どこまでほんとかわからない。



山崎が調べてわかったのは、この女が夜兎族だということ。俺も噂では聞いていたけど、戦闘種族なんて聞いていたから勝手にいかついおっさんをイメージしていた。よく考えれば男だけでは群れを成せるはずがない。

だからこれも女は女だ。子どもだって生める女。



ほんとうに扱い方がわからない。女なんて亭主持ちか商売女か、それか土方さんにくっついてる尻軽しか知らない。

たまに見かける、少女と縄跳びなんかをしているこの女の姿を見ると何が本当かわからなくなって。



だから、知りたいから傷つける。

傷跡もすぐに消えるから俺のことを忘れるのかもしれない。

でも跡が残っている間だけでも、お前は俺を睨むだろ。



「…文句があるならかかってきなせェ」

「……バカか。私はそんなに暇じゃないヨ」



タイムサービスが終わっちゃう。

最悪の捨て台詞だった。
2006'03.01.Wed
(最低のに惚れた……)



もーっ、遅かったじゃないですかー。自分が早すぎたのを棚に上げて、腰に手を当てて怒る部下の姿に溜息を吐く。

足元にはのされた男がふたり。ちょっと悪戯心を起こして、できるだけいかつい屈強そうなのを選んだつもりだったのに。やはり口先だけだったか、こんな女のような優男相手に情けない。…とは言え、得物がなければ自分だってどうかわからないが。

なんだって、こんなのに惹かれたのか。



「ちょっとっ、聞いてます?あぁもう、着物汚れたし」

「それは汚したっつーんだ」



女の格好でよくもまぁ、途中から(というかほとんど終わりを)見たが、全く綺麗な動きをするものだった。仕事を忘れて惚れ惚れした。こんな生臭い仕事ではなく見世物小屋にでも就職すればよかったのだ。舞う袖まで意思が通ったような動き。

くそう乱れた、胸元を直す手を捕まえ、何も考えずに口付ける。今日は赤い紅はさしていない。



「っ…ちょっと!」

「お詫び」

「いらねー!」



上司のねぎらいになんと言う言い草だ。苦笑しながら煙草を取り出すが、あんたの仕事はこれからですよと止められる。こいつこのままさらってその辺のホテルに突っ込んでやろうか。憎たらしいったらありゃしない。



「大丈夫かっ」

「あっ、旦那様!」

「……」



がらりと一瞬で声まで変わる。こうなってくると完全に女に見えるのだから不思議だ。

この方に助けていただいたんです、旦那と呼んだ中年の男は俺と地面に転がったサクラを見比べて目を丸くする。今日は私服で刀も置いてきた。顔が知られていればそのときはそのときだ。

怪我はないか、と旦那に優しくされている男を見ていると、こんな馬鹿らしい茶番にも乗ってやろうという気になる。それはああいつの魅力なのか俺が馬鹿だからなのかはわからない。



「うちの使用人がお世話になったようで。どうでしょう、お礼を…」



あぁそうか、予定では俺が怪我をする予定だったのだ。そしてその治療のためにという計画だったが、俺が倒すべき相手を女であるはずのあいつが倒してしまったので変更か。少しばかり勝手が違ってくるがいいだろう。可笑しいところはあいつに全て修正させる。



旦那に見えないところであいつは笑顔を向けてくる。にっこりと優しく笑うくせに、腹の中は真っ黒の大嘘吐き。
2006'02.28.Tue
そこから遠く離れていても、赤い空が見えていた。



隣で総悟が綺麗だと呟いた。

その向こうのトシは何を考えているかわからなかった。知らぬ間に覚えていた煙草をふかし、はしゃぐ総悟をたしなめる。

俺は心底恐ろしかった。



俺の故郷は田舎だから、戦の最中でもそこそこ平和なものだった。血気盛んな一部の男達は勇んで戦へ向かったけれど、誰一人として帰ってこない(江戸へ出てからひとり、遊里で豪遊しているのを見たが事情は知らない)。

トシは血気盛んなひとりで、それでも自分の実力はちゃんとわきまえていたのだろう。素振りは見せても戦へは行かなかった。俺が行かなかったせいかもしれない。



そのときはこんな田舎にまでも、恐ろしい兵器を天人は準備しているという噂が流れてきていた。

それは本当に相当なもので、人が足を踏み入れたことがない空から沢山の爆弾を落とした。江戸の町が真っ赤に燃えて、空まで赤く、何が燃えているのかわからないほどだった。



「近藤さん、空も燃えてらァ」

「…あぁ…」

「雨が降りゃいいのにな」



悲鳴が 聞こえるようだった。

小高い丘から江戸を見て、視線が離せなかった。心底恐ろしかった。

だけど天人が憎いとは思わなかった。恐ろしいと同時に、燃える空は美しかった(後にトシがあれは女のようだったと言った。どういう意味かは聞いてない)。



江戸の町を守るようになる頃には空は燃えることはなくなった。

澄んだ空に天人の船が飛ぶ。



「局長」

「――――」



あの空が俺を作ったのだろう。今でも俺の心で燃える空。

震える手で人を殺した瞬間も、洗っただけのその手で触れた女も、赤い空のせいだ。



「局長」

「…トシにまでそう呼ばれるとかなわんな」

「泣いても笑っても、あんたは今日から局長だ」
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